道ゆく人に説教されて立ち直った話
10年ほど前、身の丈に合わない支離滅裂な面接をしていたせいで転職が長期化していた時期がある。
ある日、夜からの面接が終わり感触から「あぁ、また落ちちゃったな」とうなだれた帰り道に、当時はまだあった「東京チカラ飯」で牛丼を食べながらビールでヤケ酒をしていました。
食後に店を出ると、先に店を出たサラリーマン風の客が前を歩いていたので後ろから「もうやってられないですよ!一杯だけ付き合ってもらえませんか」みたいな感じで声をかけてしまった。今考えても完全な狂気の沙汰です。
渋い俳優風の40代に見えたその人は、快諾してくれたか渋々だったか忘れましたが、初対面の僕をそのまま近くの居酒屋に連れていってくれました。呑みながら一通り僕が愚痴をこぼしたところで同情してくれるかと思ったら逆にしこたま説教をされることに。その時、何も分かってなかったのは自分だったと気づかされました。
結局もう一軒連れていってもらい、よく聞くとその方は近所の会社の社長さんでした。「君は英語はできるか?」と聞かれ、できないと答えるとなんでもいいけど一度うちに面接においでと言われました。
翌日、履歴書を送ったりしてやりとりがあったけど、進みたい方向と違ったので見送った記憶があります。
最近になってそのことを思い出して調べるとその会社は、孫正義さんの弟で孫泰藏がガンホーの前に作った会社「インディゴ株式会社」でした。泰藏さんのあとに引き継いだのが僕が声をかけた社長さん。日本のITの歴史を紐とくとよく出てくる有名な会社です。
あの時の選択で僕の人生はまた違ったものになっていたかもしれないと思うと感慨深すぎます。だけど、どの道を進んでもたどり着く場所は同じ気もしています。
やけになっていたどん底の酔っ払いの自分に、優しく、そして手厚く「現在地点」を教えてくださった社長伊藤さんには感謝しかない。その後、彼と接点はないけど物語はまだ途中。いつかリンクすることになるかもしれません。その時は、有名な日本の物語みたいにこういって恩返ししないと。
「あの時、助けられた酔っ払いです」と。
きわどいくらいがちょうど良い、という話
今でもそうですが、大事にしていることがあって良い機会なのでまとめてみることにしました。
それは一般的に考えたら「ギリギリ」とか「きわどい、危ない」「怒られるかもしれない」発言や行動を意識すること。
これ調子に乗ってる訳じゃなくて、ゴールに対して
・誰も通らない道
・最短距離
だったりするからです。
レースだってインコースが有利だけど狭かったり、技術が必要で危なかったりすると思いますが、あれと同じイメージです。
当然そういう道を選ぶと時たま指摘を受けたり、怒られたりする訳ですがレースとは違って失格にはならないし、まして命の危険もありません。感覚的には「怒られるまでやってみよう」です。どこまで行けるかなと。
うちの会社の幹部にも、予定調和や同調圧力を無視して、歯に衣着せぬ物言いで本質的な指摘や提案をしてくるメンバーがいますが、僕たちも気がつかない視点から教えてくれることも多くてとても重宝しています。
また、あるエンジニアは失敗しながら突き進んで倍速でスキルアップしているメンバーもいます。最初はミスやバグも多いのですが、それにも増してスピードと改善を繰り返すので成長も早い。
慎重になりすぎても、忖度しすぎてもあまりいい事はないという持論の話しでした。ただこれ業界や企業の色にもよると思いますが、少なくてもうちのシーサーでは問題なしです。
ぜひインコースギリギリを狙って欲しいです。